年収1000万 ITフリーランスの随想録

創業以来年商1,000万以上を継続しているITフリーランスの業務体験記や日々思うことの記録

フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(後編)

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

今回も引き続きITフリーランスの契約についてナレッジをシェアします。

前回は、ITフリーランスにおける契約とは何か、また契約書の意義についてお話ししました。

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今回は、私が先日締結した契約で考えたことをもとに、ITフリーランスの契約についての考慮ポイントをいくつかお話ししたいと思います。

 

今回も前回と同様、ITフリーランス⇔エージェント⇔クライアントの3者でITフリーランスである私のエージェントとの契約関係についてのお話となります。

 

ポイント1.報酬の計算方法

 

契約の最も基本的な部分といっても良い報酬の部分です。

今回私の結んだ契約は、稼働率20%で2か月間の総額が48万円税別でした。

 

稼働率20%の意味はこれまでの記事で何度か取り上げていますが、平日5日と考えると、「週1」という稼働になります。

ただし、週によっては休日があり、週の平日がそれより減ることがあります。従って週の平日を基準にして稼働量の20%を計算することはありません。

月の平日を基準にして考えても、週と同様、月の平日の日数は異なります。

 

したがって、月の稼働を160時間(1日8時間×平日20日換算)として考えることが広く行われています。

 

その考え方でいくと、今回の契約の稼働率20%ならば、月間32時間(丸4日)の稼働ということになります。

 

しかし、そういう暗黙の了解を前提に考えることは、問題が起きた場合に頼りないです。契約書上で月の稼働が160時間を基準として考える旨の明示はなされていない場合は、先方と別途確認したほうが良いでしょう

 

特に初回の取引等関係性の薄い相手との取引や、注意したほうが良さそうな相手との取引の場合は必ず確認しましょう。

 

さて今回の私の契約に関しても、20%稼働の考え方の詳細は示されていませんでした。

 

今回私の契約する案件は、私の役割はITコンサルタントであり、このような立ち位置の場合は稼働時間はあくまで目安になることが多くなります。

 

要は時間云々ではなくて成果を出してください、ということですね。

 

つまり稼働時間の多少の変動は先方も私も織り込み済みということで、逆に言えば成果が上がれば実際の稼働が20%より下回っても、エージェントもクライアントも問題にすることはないという想定です。つまり下手に明確化すると私の利益にならないケースもあるということで、契約書の書き換えの手間も考え合わせ、スルーしました。

 

繰返しになりますが、この稼働率の定義があいまいによることで自分が不利になるようなことが想定される場合は、先方と交渉したほうが良い項目です。

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ポイント2.経費の分担

 

クライアント先と私の事務所間の交通費は報酬に含む(つまり私の持ち出し)ということになっていますが、基本リモートワークになるので気にしません。

 

交通費の精算があると私とエージェントの両者で手間になりますし(あくまで金額との兼ね合いですが)、ほぼ発生しない項目であることから今回は無視でよし、というところです。

 

交通費以外の経費については、「甲乙協議の上決定」となっています。これは都度都度エージェントと私で相談してどちらが負担するか考える、ということでよくある書き方です。

 

例えばシステム案件で経費が発生することがあらかじめわかっている場合*1は、契約前に握っておいた方が良いです。案件が開始してから協議してみたら予想外に自分の持ち出しになってしまった、ということを避けるためです。

 

今回の私の例では、この案件でZoomを使用する予定ですが、そもそも自社として毎月Zoomとは契約しているので、新たに必要になるわけではありません。その他特に経費が発生する想定はないので特にこれもスルーでよいです。

 

ポイント3.損害賠償額の「予定」

 

前回の記事で取りあげましたが、例えば自分の書いたプログラムに不具合があり、クライアントの業務に多大な影響を出してしまった場合を想定します。

 

この場合、クライアントはエージェントに損害賠償を請求しますが、エージェントは自分に同様の損害賠償をする可能性があります。

 (なぜ直接ITフリーランスに請求しないかは、前回の記事に理由を書きました)

 

こうなるとフリーランスである自分にとっては大きなリスクですよね。自分のプログラムのミスで1億円の損害賠償をされた、などを考えるとゾッとします。

 

しかも今は会社という盾もない状態。

 

しかしこのような場合に備え、一般的には「損害賠償額の予定」という条項が契約書上に存在することがほとんどです。

 

予定とは、簡単に言うと限度額を決める、ということです。

多くの契約では、「損害賠償額は契約金額を上限とする」と書いてある場合が多いです。

 

例えば今回の私の例だと、2か月間の報酬の48万円が上限です。

私の行為でクライアントがどんな損害を受けても、基本私はエージェントに48万円を賠償すれば良いとなりますので、安心して業務にあたれますね。

 

ただし私の行為が「故意」や「重過失」による損害の場合には、この予定額は無効とする旨の契約が多いです。わざとクライアントに損害を与えた場合なので、当然ですね。

 

ともあれ、「損害賠償額の予定」の記載がない場合は必ず契約の見直しを要求しましょう。

 

(まとめ)

 

さて2回にわたりITフリーランスの契約についてお話ししましたが、いかがでしょうか。

 

契約書はたくさんの文字が並んでいてとても読みにくく感じるものですが、我慢して何度も見ていると、ほとんど似通った内容であることがわかってきます。

 

さらに法務周りの学習をしておくことも効果的です。

 

繰り返しになりますがフリーランスになると自分を最終的に守ってくれるのは法になりますので、得意意識を持っておくことは精神安定上も良いと思います*2

 

法務の学習に関してはまたいつかのタイミングで記事にしたいと思っています。 

 

*1:例として、有料ツールやWifiの使用料、技術調査のための書籍代・研修費、作業用PC・周辺機器の購入代金等が該当します。特にZoomやChartWorkなどのツールはサラリーマンであれば当然会社請求の経費にできますが、フリーランスの場合は契約で握っていないと細かい請求はしづらいものです。

*2:私自身、「法律論で考えれば、自分に理(利)がある」と考えられることで、クライアントやエージェントとの揉め事で必要以上に神経をすり減らす必要がないことが法務を学んで良かった点です。

フリーランスにとって契約は身を守る最後の砦~契約書をきちんと読もう(前編)

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

昨日、あるITコンサルタント案件の契約を結びました。

契約の内容は一応すべて目を通しましたが、面倒でした^^;

 

契約書は先方から提示されたもので、多くのIT契約書と同様、ほとんどどこかで見たような内容でした。

 

新鮮味のない文字の羅列を眺める億劫な作業なのですが、確認しておくことが重要と考えています。

 

そこで良いきっかけと思い立ったので、なぜ私が面倒ながらも毎回似たような契約書を確認しているのかなど、ITフリーランスにおける契約について私の経験上のナレッジをシェアしたいと思います。

 

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そもそも契約書とは

 

ITフリーランスがお客様にサービスを提供する場合には、基本的に法律上の契約関係が生じています。

 

契約関係を生じるには必ず契約書を作成しなければならないということはないですが、ある程度の規模の取引では契約書を用意することが多いです。

 

契約書を用意しないケースの例としては、例えば「身内」*1での取引とか、取引金額が小さいとか、だいたい個人事業主同士での少額のお仕事のような場合に契約書を作らないケースが多くなります。

 

このような場合に、「契約書を作りましょう」ということは、なかなか日本人のメンタルとして難しいものがあります。

私も何度も契約書なしの仕事を受けたことはあります

 

しかし、このような場合でも双方の「発注の意思」「承諾の意思」が確認できれば法律上の契約関係が成り立ちます(法律用語としては「諾成契約」ですね)。

 

さて、多くの場合、お仕事上のもめごとは、

  • そもそも双方に契約があったのか
    ※発注者が「そもそも仕事を頼んだ覚えがない」としらばっくれるという話を聞くことは少なくないです。
  • 契約はどんな内容であったのか
    ※作業内容(工程や範囲)、納品期限、報酬、などなど

のような認識に齟齬があることがほとんどなのですが、この内容を客観的に証明する手段として、契約書があると便利だということです*2

 

ただ、契約書がなくても、メールやチャットの履歴、はたまた録音などを残しておけば、のちのち裁判などでも契約内容の証拠として使えるようです。

しかし、そのやり取りや履歴が本当に双方が納得したうえで行われたかどうかなどの証明が難しい場合があるので、契約書を作成し、契約に関する内容を網羅的に記載して、それぞれ押印などの手段で残しておいた方が証明力が高いとなります。

 

 

ITフリーランスの契約

 

ITフリーランスとして直接クライアント先に出向いてサービスを提供する場合でも、エージェントに紹介された案件の場合の多くは、ITフリーランスとエージェントの間で契約を結び、エージェントとクライアントの間で契約を結びます。

 

2段階の契約になるわけですので、この場合、ITフリーランスとクライアントの間には直接の契約関係はありません。

そして、クライアントから見たITフリーランスは、簡単に言うと「エージェントの一員」ということになります。

 

したがって、ITフリーランスが作ったバグでクライアントに損害を与えた場合の責任(賠償など)は、クライアント⇒エージェント⇒ITフリーランス、という段階で及びます。

 

クライアントが仮に「ITフリーランスよ、賠償しろ!」と言ったとしても、ITフリーランスが「いやいや、おたくとはそもそも契約関係にありませんので」と言えば手出しできません*3

したがって「おたくのITフリーランスがやらかしたから、契約に従ってエージェント、お前が賠償しろ!」となるわけです。

 

場合によっては、エージェントがクライアントに対して賠償するものの、ITフリーランスには賠償をしない、という寛大なケースもあるかもしれません。この場合、ITフリーランスにとっては、エージェントが責任をかぶってくれた、という感じのニュアンスになりますね。

 

そんなラッキーケースではなくて、クライアントからの損害賠償をエージェントが受け入れて、エージェントがその損害賠償をITフリーランスに求める場合、その賠償範囲や金額などは、エージェントとITフリーランスの間の契約によって決まります。

 

この時に、契約書で取り決めた内容が重要になってきます。

契約書がないと、こんな場合の取り決めなんて普通口頭でやりませんよね。

 

こういう場合が、契約書の記載が重要になるひとつの典型的な例です。

 

(いったんまとめ)

 

ちょっと長くなってきたので、残りは次の記事に書きます。

私が昨日押印した契約書はまさに、エージェントと私(ITフリーランス)の契約書ですので、次回↓は具体的にどのようなポイントを見ていたのかを説明したいと思います。

  

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*1:親族間であったり、旧知の間柄であったり、私の他の例だと、同じ士業者の間であったりします

*2:もちろん、契約書に詳細が明示されているということが前提です。イケてない契約書だと、契約内容に曖昧さが残ったり、もめごとの解決に繋がらない場合があります。こういった場合を避けるために、弁護士などに契約書の法務レビューを依頼するわけですね。

*3:「契約責任に基づいた請求」ができないということですが、かなり法律的な話になるので、専門家でない私がここで説明するのはやめておきます。しかしながら、このような抗弁ができることを知らないフリーランスは相当いるのではないかと思います。

エージェント経由でITコンサルタント案件獲得に役に立ったスキル(後編)

 こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

 30代前半で独立して、様々なエージェントに様々な案件を紹介いただいた経験を持つ筆者が、エージェントを通じた案件獲得で役に立つと思われるスキルをシェアします。

 

今回は前回に引き続き、私自身があればよかったと感じたスキルについてお話しします。

 

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あればよかったスキル2つ

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パッケージシステムの専門スキル

 

人材市場に技術者が少ないとか、技術習得の難易度が高いスキルは、希少性があり、当然高単価に繋がります。

 

オープン系*1に比べ、個別のベンダーが提供している業務パッケージに関するスキルは希少性が高いと言えます。

 

代表的なものに基幹業務システムのSAP*2が挙げられます。

 

SAPの技術を習得するには、高額の研修を受けて認定資格を取り、その後現場経験を積む必要があり、フリーランスが後から参入するのが難しい領域です。

 

例を挙げるとオープン系の仕事で単価100万となると、これは高額な部類なのでプロジェクトマネージャーやコンサルタントとしての仕事が多くなります。

 

しかしSAPでは、実装を行うエンジニアでもゆうに100万を超えてくることが多いです。

 

残念ながら私はこのような希少性のある領域でのスキルを持っていないため、SAPの高単価求人を見るたびに「サラリーマンの時に希少性のある領域の仕事を経験しておけば良かった」と考えることがあります。

 

 

英語ビジネスレベル

 

ITフリーランスでも英語が一つの単価の壁になっている印象はあります。

 

同じ職務内容でもビジネスレベル英語が求められる場合は、2~3割単価がアップする印象があります。

 

特にITコンサルタント案件ではグローバルプロジェクトも多く、英語が必要条件に入ってくる割合が多いように思えます。

 

一朝一夕ではどうにもならない領域ですが、やはり持っておいて損はないスキルだと独立してからは痛感しています。。。

 

 

(まとめ)

 

今日は私がエージェント経由で仕事を受ける場合の「あればよかったスキル」についてお話ししました。

 

ちょっと意外性には乏しいかもしれませんが、実際の経験としてもこのように感じているということで何かの参考になれば嬉しいです。

 

案件の獲得方法としては、エージェント経由以外にも様々な方法があると思います。

また今度、エージェントを経由せずに仕事を受ける場合に役に立ったスキルなどについて、機会があれば経験談をシェアしたいと思っています。

*1:特定の会社の技術に依存しない広く使われている技術。JavaRuby、.NETなど。

*2:SAPは大手顧客企業と大手導入企業に技術者が集まる、ある意味「SAP村」が形成されているように思えます。

エージェント経由でITコンサルタント案件獲得に役に立ったスキル(前編)

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

30代前半で独立して、様々なエージェント*1様々な案件を紹介いただいた経験を持つ筆者が、エージェントを通じた案件獲得で役に立ったと感じたスキルをシェアします。

 

私の場合、ITコンサルタント、SE、プログラマーとして業務を受けることがあるのですが、それぞれにより役にたつスキルは異なりますので、今回はこの中で最も高単価案件となりやすい、ITコンサルタントの案件獲得に関してお話しします。

 

ちなみに私の得意領域は、企業の基幹業務システムのスクラッチ構築で、応募案件もそのような案件が多いです。

  

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これからITコンサルタントとして独立を検討している方、またはITフリーランスとして既に活動中で、ITコンサルタントの案件獲得を新たにお考えの方の参考になればと思います。

 

強みになると考えていたスキル

 

独立当初、エージェントに対して自己アピールする際、自身の強みなると自覚していたスキルとして「実装スキル」「コンサルスキル」「難関資格」がありました。

 

そして独立から5年以上経過してみて、それぞれが実際の案件獲得に役に立ったかという実感についてお話しする流れとさせていただきます。

 

 

実装スキル(コーディングスキル)

 

エージェントから仕事を受けるにあたり、高単価のITコンサルタントの求人を紹介されることが多かったのですが、その際にも、私の実装スキルは強みになるのではと考えていました。

 

『ITコンサルタントとして関与しますが、場合によっては作業者としても動けるので様々な役割に対応できますよ』というセールスポイント(差別化)です。

 

実際に前職のコンサルティングファームでは、ITコンサルタントと呼ばれる職種の方々は実装スキルを持たない方が多かったので、ファーム内でも私の強みと言えました。

 

さてこれが実際に役に立ったかですが、結論。

 

案件によっては歓迎されることはあるが、その割合はあまり多くなかった、という程度の印象です。

 

やはり高単価のコンサルタント求人の場合、プログラミングや設計は業務範囲にそもそも想定されていないことが多かったです。

 

 

コンサルスキル(コンサル実務経験)

 

エージェント経由でITコンサルタントとして案件に入るのに、スキルというより、元大手ファーム出身者という点はかなり有利に働いたと思います

 

国内に限らず有名な大手のITコンサルティングファームなら、年齢や職階が同じコンサルタントに求められる基本的なスキルが似通っているため、例えば30歳前後で数年ファームに所属していた、というだけでどの程度のスキルを持つかがだいたい想像がつきます。

 

ITコンサルタントの案件の場合は、プロジェクトの責任者やメンバーにコンサルティングファームの人間が関わっていることが多く(そもそもコンサルティングファームのプロジェクトが求人しているケースも多い)、例えば「元アクセンチュア出身のマネージャーランクで仕事をしていた人物」という話だけでも、受け入れ側は作業イメージを具体化しやすいです。

 

私はこれまでの社会人経験で、新聞に載るようなプロジェクトのPMなどの大きな成果を残したとか、英語ビジネスレベルであるとか、高学歴など、派手なアピール要素は(悲しいかな)ないですが、元ファーム出身者であるという点が、ITコンサルタント求人に応募できた最大の要因であると推察しています。

 

したがってフリーランスでITコンサルタントとして働きたい場合は、元ファーム出身者でない限り、その前にどこかのファームに入社して数年頑張るというのは現実的な努力だと思います*2

 

 

難関資格ホルダー

 

私はIT業界に限らず幅広くビジネスマンに人気の高い、中小企業診断士の有資格者です。

 

IT実務+ビジネスサイドの難関資格、という組み合わせは、個人的にはセールスポイントになるのではないかと考えたのですが、結論、こちらはほとんど意味を持たなかったという印象です。

 

もしかしたら、前に書いた「コンサルティングファームでの勤務経験」の方に隠れてしまっているかもしれません。

 

しかし実際、私がプロジェクトの求人する側であっても、資格持ちより実務経験者を重視するでしょう。

 

特に弁護士や会計士など、その資格がないと仕事をすることができないというような制約がない限り、(自己啓発系)資格の効果は低いというのが実感です。*3

 

面談などで感心されることはあっても、中小企業診断士を持っているからエンジニア枠でなくコンサル案件にアサインしますね、という話にはまずならないという実感です。

 

 

(まとめ)

 

ITコンサルタントとしてフリーランスの案件を獲得するためには、私のアピールポイントでは「元ファーム出身者」であるということ。という身も蓋もない結論になってしまいました。

 

しかしこれが現実と思います。

 

会社の社員の立場であれば、ストレッチさせるためとか、別のスキルを身につけさせるために、未経験の分野の仕事にあえて挑戦させてくれることもあるでしょう。

 

しかしエージェントはそのようなことはまず考えてくれません。

 

なのでこの経験から、私がこれからITフリーランスを目指す方にお伝えしたいのは、会社員のうちに、独立を見据えてサラリーマンの立場で業務経験を可能な限り積むことです。

 

特に独立して新たな領域で仕事をしたい方は、現職で果たせない場合には転職等を駆使してでも、サラリーマンの立場で独立前の実務経験をアップデートしておくことが有効と思います。

 

 

今回はここまでにします。

 

後編では、自分にはないスキルだが、持っていれば案件獲得にさらに役立ったであろうスキルについてお話ししたいと思います↓

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*1:案件の紹介会社です。求人する企業と、仕事を探すフリーランスの間に立ってマッチング等を行います。フリーランスがコネのない企業に直接営業するのは難しいため、エージェント経由で仕事を得ることはITフリーランスにとって一般的です。エージェントは顧客から支払われる報酬の一部を運営費に充て、残りをフリーランスの報酬として支払うという形でエコシステムの一部を形成しています。

*2:ただし、超短期の在籍は、解雇されたか職務がこなせなかったかと疑われることがあるため、逆にマイナス要因になり得ます

*3:IT業界なら「ITストラテジスト」や「ネットワークスペシャリスト」などの難関資格持ちでも、それが実務での評価面に直結するわけではないというのは理解しやすいと思います。

サラリーマン vs フリーランス 実質の年収比較

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こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

10年超ITサラリーマンを経験した私が、ITフリーランスに転身して数年して、それぞれの年収を比較する際に考慮しなければならない点をシェアしたいと思います。

 

今後フリーランスを目指す方、または既にフリーランスだが現状の年収がサラリーマンと比較してどうなのかよく分からなくなっている、という方の参考になれば幸いです。

 

5つの観点で順に説明します。

1.(前提)税金
2. 有給休暇
3. 経費
4. 退職金
5.社会保険料

 

1.(前提)税金

 

サラリーマンとフリーランスの年収を比べるにあたって、税金面での考察が良くなされると思います。

 

が、これについては収入の多寡など様々な要因が絡んで一概に説明が難しいので、ここでは考慮外とさせてください。いずれも税金(所得税、住民税等)はかかるので、それはだいたい同じくらい*1と仮定します。

どうしてもまずそこが気になる方は、税理士の方などのブログを参照して下さい^^;

 

ここでは、それ以上にわかりやすく違いの出る要因があるので以降でお話しします。

 

 

2.有給休暇

 

なぜ年収の比較に有給休暇が?と思われた方がいるかもしれません。

 

私の経験上、サラリーマンではあまり給料と関連付けて意識していなかったことで、有給休暇があります。もちろん有給休暇の残日数、というのは意識していましたが、有給の「給」は給料の「給」です。つまり働かないでも給料をもらえる休日、ということになります(恥ずかしながら、私はフリーランスになった後に漢字の表す意味に気付きました)。

 

私の場合、過去に勤務した3社はすべて、勤続年数に応じて有給日数が増えていく仕組みで、だいたい勤務の終盤では、15日~20日程度、年間で有給休暇を使えていました。

 

もしこれからフリーランスを開始される場合は、たとえば自分のスキルなら月間60万円稼げそうだ、と考えた時に、それを単純に12か月掛けて想定年収720万円、とはしない方が良いです。

なぜならこの計算はサラリーマンなら取れる有給休暇を取らずに働いた場合の年収額となるからです。

 

もし休暇をサラリーマンの時と同様として、例えば年間20日欲しい、とすれば、11か月分(11掛け)で年収を考えなくてはなりません*2

 

何か月稼働できるかという観点では、実際にはサラリーマンだと会社(総務や経理)が担当してくれること、例えば契約書作成、会計システム入力、確定申告(や税務署に出向いての納税)などを自身で行うことを考慮しなければなりません。

 

これらクライアントサービス以外の業務を自身で平日に行うことも想定すると、上記有給に相当する休暇取得分も含めて、実際の報酬が発生する仕事に就けるのは年間のうち10か月くらいで想定しておいた方が良いと思います*3

 

 

3.経費

 

業務で使用するパソコンや高速インターネット環境、プリンタなどはすぐ思いつくでしょう。

その他事務所費用(シェアオフィス、コワーキングオフィス費用)、税理士費用(個人事業の場合は必須ではないです)、SaaS費用(DROPBOX、Charwork、ZOOMなど)、印刷コスト、スキルアップ費用(研修参加等)、があります。

 

私の場合だと、だいたいこれらの経費は売上の5%以下です*4

 

経費に関しては、フリーランスになると話は尽きませんので、それらは別の記事でまたお話ししたいと思います。

 

とりあえず売上に対して余裕見て1割見込んでおけばITフリーランスの場合大丈夫だ、と考えてもらったらよいと思います。

 

 

4.退職金

 

フリーランスに退職金は当然ありません*5

例えば、今勤めている会社の定年時退職金を2,000万円と仮定した場合、35歳でフリーランスを開始する場合、80万円×25年(定年60歳を仮定)、自身で積み立てていく必要があります。つまり25年間はサラリーマンより80万円余分に収入を得なければなりません

 

 

5.社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)

 

これに関しては1人法人を立ち上げる方の注意事項です。

社会保険料は、半分が会社負担ということを知っているでしょうか。

 

私は法人化してから、このありがたみをようやく実感としてわかるようになりました。

 

たとえば、1人法人で、自分の給料を月額50万円とした場合(つまり年収600万円)、社会保険料は、月額15万円も支払うことになります(東京の場合。正確には140,850円です。下リンクの等級30の欄を参照してください)。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r2/ippan_3/r20913tokyo.pdf

年収600万円に対して、社会保険料がざっくり180万円です。すごいです。

 

そんなに社会保険払ってるのか?と思われたサラリーマンの方。

社会保険料は労使折半なので、会社員は510万を受け取り(いわゆる手取り額)、会社は別に90万を(陰で)納付してくれています

 

ここで、1人会社の社長の場合、会社の支払いとは、結局は自分で払っているのと同様になるので、サラリーマンの倍額の保険料を支払うことになります。

 

したがって、今サラリーマンとして額面年収600万円であれば、一人会社の社長として同じ収入を得るためには、(社会保険料だけを考慮しても)690万円売上なくてはならないということになります。

 

将来受け取れる厚生年金は同じ額なんですけどね・・・

 

個人事業だと、そもそも厚生年金の加入はしないため、フリーランスだからといってこのように多額の保険料を支払う必要はないのですが、将来厚生年金は受け取れなくなります(当然、サラリーマンの時に納付した分の年金は受け取れます)。

 

これも長くなりそうなので、またどこかでもう少し詳しくどこかで別の記事にしたいと思います。

 

 

(まとめ)

 

また長文となってしまいましたが、ざっくり1000万の売上の法人であれば、

・経費でだいたい売上の1割(100万円)

・退職金のため80万円/年をプールする

社会保険料で90万円納付が必要(社長の報酬を年額600万円に設定した場合)

となり、サラリーマンの額面の年収なら700万円程度に相当するイメージになります。

 

今サラリーマンで700万稼いでいるなら、フリーで法人設立した場合には売上1,000万円必要。そのためには、月額100万円の売上が必要(2.の点から)という感じでしょうか。

 

フリーランスにこれからなる方の参考になればと思います。

*1:実際に1,000万円くらいまでの年収であれば、あまり違いを感じない、というのもあります。フリーランスはサラリーマンのように税金の給与天引きがないので、現金で納付した場合に、たくさん払っているという錯覚を起こす方が多いのは理解できますが。。。

*2:フリーランスは1か月の労働を20日とか160時間とかで考えることが多いです。

*3:これからフリーランスを目指す方の年収見込みという意味だと、そもそも年間10か月分の仕事が受注できるという前提の方をより慎重に検討する必要があるかもしれませんね。

*4:私は税理士を使っていないし、格安の住所利用のみのバーチャルオフィスを使っているので、固定費は安い方だと思います。

*5:各種共済会などが実施している退職金制度はありますので、それを利用しなければ、ということです。いずれにせよ退職金に関する考え方はサラリーマンと違い、自分の売上から能動的に積み立てていくという感覚になります。

サラリーマンからフリーランスになって変わったこと ~ 時間の捉え方

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

10年超のサラリーマン経験を経て、フリーランスになってから気持ちの上で変化したことについてお話ししたいと思います。

 

いくつか思いつくことがあるのですが、今回は時間に対する捉え方について取り上げたいと思います。

 

フリーランスは時間をお金に換える存在

 

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フリーランスになってから、時間に対して「もったいない」という感情が、サラリーマンのときより大きくなったように思います。

 

なぜなら、時間を無駄にするということは、その時間働いていれば得られたお金を失うことに繋がるからです。

 

それはサラリーマンも同じ、と考えるかもしれませんが、(社員を持たない)フリーランスは、単価を変えられない限り、稼働時間が収入を決定する唯一のパラメータとなるため、圧倒的に稼働時間が重要となります。

 

特に自宅作業など、作業時間を融通できる働き方の場合は、四六時中、この時間を業務に費やせば生み出せるお金があるのに、という考えがどこかにあります。

 

したがって私と同じように世間が休日でもどこかで仕事をしている、というフリーランスが多いのではないかと思っています。

 

 

それは仕事に追われているというより、お金に換えられる空き時間があればもったいないから仕事をしよう、という感じです。

 

 

時間の捉え方が変わって起きた行動の変化

 

そうは言ってもフリーランスになったからと言って、なかなか日々の時間の過ごし方は変えることができていません。

 

ただ、無意識に行うようになったのは、休日でも空き時間は仕事をすることとか、朝食前の時間帯を仕事にあてるようになったこと、机がなくても移動中にできるアイデア出しなどのタスクをToDoにして取っておくなど、効率を高めるための行動を自然に行うようになりました。

 

ある意味プライベートと仕事の境界が曖昧になってきており、個人的には、それはそれで様々な工夫ができ、むしろ日々が楽しくなったように思っています。

 

意識的には、2点あります。

 

ひとつは、会食の2次会の参加をやめました。

私の経験上では、2次会以降では1次会と同じような話をダラダラしてしまい、コミュニケーションの生産性がとても低いと感じています。翌日に影響してしまったり、飲みすぎて失言してしまったりというリスクもあります。

なので、独立してから2次会に参加したことはほとんどありません

 

もうひとつは、時間にルーズな人を許さなくなりました。

端的に言うと遅刻する人ですが、仕事上はほとんどそういう方はいないのですが、プライベートで、ごく数人、そういう友人がいました。

「私の30分、5000円返せ」と思ってしまうので、距離を取るようにしています。

 

ただ時間にルーズでも、相手が自分より社会的立場が上(≒稼いでいる)場合は、許せてしまいます。なぜなら私が失った時間(お金)よりも相手の時間の方が価値があるからです。

 

そう考えると、距離を取るようになった友人に対しては、社会的立場として優位であるという感情があったのかもしれませんね・・・

 

 

余談

 

私は時間効率を高めるために、休日でも稼働するという契約を喜んでお受けしています。

 

以前あるサービス業の支援をしたときは、水曜と日曜がお客様の定休日でした。

 

それは私にとっては大変なメリットです。

なぜなら、土曜に稼働できるうえ、貴重な平日の水曜日を他の顧客の仕事にあてることができるからです。

 

土曜も働いていただいて、とお客様は少し遠慮していたようですが、私にとっては稼働率を高めることができる大変ありがたいお仕事でした。

 

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今回はこんなところです。

フリーランスになって変わったことについては、また別の観点でお話ししたいと思います。

 

ITフリーランスとしての初仕事は小規模基幹システムのひとり開発だった(後編) ~ 業務内容と報酬

こんにちは。アラフォーITフリーランスです。

 

今回は前回に引き続き、私のITフリーランスとしての初仕事についてお話ししたいと思います。 itfreelancer.blog

 

前回は 1.受注の経緯 についてお話ししました。

今回は 2.業務内容 と 3.報酬 についてお話しします。

 

2.業務内容

 

顧客は小規模製造業(以下B社としましょう)で、自社の受注~製造~出荷までの業務のIT化を望んでいました。

 

A氏やB社にはIT構築の技術に疎いため、テクノロジー選定は私の自由でした。そこで開発技術は私の最も得意なASP.NETを採用し、BCPを考慮してクラウド(Azure)に構築することにしました。

 

クラウドを使用するメリットは、顧客にとってのBCP以外にもあります。

それは私のようなフリーランスにとって、インフラの構築や維持にかかる手数を削減できることや、サイジングのリスクを回避できる*1(スペックが足りなくなったら、手軽にアップできる)などがありました。

 

技術が決定したら、B社でシステム担当に指名されたCさんと私で業務要件定義の開始です。

 

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私が現状業務の業務フローを作成し、それに関してCさんからのフィードバックを受ける、ということを1か月程度行い、次はITを導入した場合の業務フロー案(To-Be業務フロー)を私で作成し、それをもとにCさんに説明し、またフィードバックを得て調整する、という作業をまた1か月程度行いました。

 

このTo-Be業務フロー作成は特に楽しい仕事であったことを覚えています。B社にはIT導入後の具体的イメージがほとんどなかったため、私から提案する内容をどんどん取り入れていただけたのです。このことはとてもやりがいを感じました。

 

もともとB社の社長は、自社の業務が特殊であると思っており、システム化が難しいと考えていたようですが(実際に、私より前にこの案件を受けた個人事業主の方がおり、一度とん挫した経験があったようでした)、スクラッチでの構築であれば、要件を論理的に整理しさえすれば如何様にも実装できるので、設計・実装にあたり特に問題となることはありませんでした。

 

また、このような小規模システム開発においては、どうしても大規模ウォーターフォールのような、成果物の作成とそれに基づいた合意形成が予算的に難しくなります。

その点はコンサル時代に養った合意形成のスキルや、プログラマー時代に養った実装スキルを最大限活用できて、スピード感のある実装とローリスクの合意形成を両立できた実感はありました。

 

そして要件定義を開始して6か月程度で、さしたる問題なくシステムは完成しました。

 

3.報酬

 

今回の仕事で報酬について実感したことが2つありました。

 

(1) 請負契約における報酬請求権

 

法律の話になってしまいますが、基本的にシステムを構築して納品するような作業は請負契約となる場合が多く、この場合、報酬が入金されるのは、システムが完成して、顧客が検収を完了した(顧客がシステムの出来栄えをOKとした)とき*2です。

したがって、請負契約の場合の請負側のシステム完成に対するプレッシャーは強いです。なぜならお客様にOKと言わせなければ、報酬を受け取れないのですから。*3

もし、そこで揉めれば(どうしても払わないと言われれば)、裁判に訴えるしかありません。*4

 

私は、独立して最初の仕事で上記のリスクを抱えることが心理的負荷を高めると考えたため、私はA氏を盾に、私とA氏の間で準委任契約(毎月私はA氏に作業代を請求できる)とすることでリスクを回避しました。*5

この行動は我ながら最初の仕事としてはうまく立ち回ったと思います。

 

(2) 実装スキルを持つ強み

 

つくづく芸は身を助けるではないですが、デリバリー能力を維持していてよかったと思いました。

 なぜなら、顧客から得た報酬のうち、結果的にA氏と私の配分は1:9となったからです。

 

たしかにA氏は案件開始後は何もしていませんが、この案件を発掘するまでに相応のコストをかけているはずです。

 

そう考えると、顧客が払う報酬の大部分を手にできるのは、実装スキルを持つ者(実作業を行うもの)の大きな強み*6であると意を強くしたのを覚えています。

 

*1:選定したサーバーに問題があれば、弁償は(普通に考えて)自分持ちになる。これはフリーランスにとって大きなリスクであると考えていたので、クラウド化の流れはフリーランスの追い風だと思ったことを覚えています。

*2:実務では、システムが完成することを前提に、報酬の半額を仕事の開始時点で受け取るような形式も多いです。先にお金をもらっておかないと、システム開発の過程で出ていく人件費等の経費がまかなえないケースがあるからです。

*3:現にA氏が報酬を受け取ったのは、当方がB社にシステムを納品したときでした。

*4:悲しいかなフリーランスは寄って立つ看板がないため、いざとなったら頼れるのは法しかありません。

*5:これはA氏にとっては大変なリスクであったはずで、法律を知らないことこそが大変なリスクを言えます。このあたりの契約周りの留意点については、まだどこかで記事にします。

*6:いわゆるコンサルティングファームがITの分野に進出しているのは、規模の違いはあれど同じ理由であるという点を、独立して実感しています。